【末期ガンからの生還】回想録 その2

【末期ガンからの生還】回想録 その2

少し寝たら、自分のベッドルームの横から嗚咽が聞こえる。

自分は寝ていても音や匂いに敏感な人間だ。
音に気づいて行ってみると、隣のシャワールームで彼女が血を吐いている。

わかってはいたが、やはり大変な状態だ。

自分のちからではその場から移動することもできないようなので、シャワールームで温熱を始める。
昨日ずっと温熱をかけていたことが効いたのか、体温が少し上がってるように感じる。これなら上から2番目の温度70℃に設定しても大丈夫そうだ。

温熱は高い温度ほど効果がある。

温度を上げたおかげで昨日より効果が出るのが早く、彼女の状態が落ち着いたのを見てベッドルームに移動、本格的に温熱を始める。

彼女とは、もっと話をしておかないといけない。
ここにいてもらってもいいのだが、僕ができることは限られている。
それを伝えないと。。

「僕ができることは全部やるけど、どうして欲しい?」の答えを聞くことにした。
彼女の答えはいたってシンプル「お願いしたい」だった。
病院は何もできない。友人から教えてもらったものは全て試したらしく、状態は悪くなる一方。僕のやることもダメ元でもと思うしかないのだろう!と納得した。

僕がやれることとしては、
・三井温熱療法
・M社のジュース(半年前に入ってきた情報で、もらった資料では効果ありそうだったもの)
・A社のサプリメント(9年間、自分が摂っていて信頼できるもの)
この3つだけだ。

温熱を止めて、ジュースを100ccほど飲ませる。吐血した部分にしみるのだろう、ちょっと飲んだ後に痛さで顔をしかめた。味も大嫌いだと言っていたが、我慢!我慢!とあっさり言っておいた。
まず最初に、どれぐらい飲むかを決めないといけないのだが、このジュースは1リットルの瓶に入っていて、何本でも飲めるだけ飲むことが望ましいと聞いている。健康な人は1日に150ccで十分ということなんだが。。。
「1日に1リットル以上飲む!」と、彼女は決めた。

重要なこととして書き残しておく。
温熱は最も早く気分や体調が良くなるんだが、末期がん克服の決め手になるかと言えば嘘になる。やはりジュースなしでは助からないとわかっている。

そして、固形のサプリメントについては、今の胃の状態ではキツいので、次の検診まではパス、摂り始めないことにした。

さて、ガンとの戦い方が決まった。
『血を吐く→ジュースを飲む→温熱をする→寝る休む』
と言うサイクルだ。

毎回、ジュースを飲む度に顔を歪めるので、少しでもいい波動のものをと、一番お気に入りのバカラのグラスにジュースを注いで持って行く。彼女にとってはどうでもいいことだ!とはわかっているんだが。

朝から晩まで、いや夜中まで、いや朝方まで。とにかく、温熱が気持ち良くて寝てしまうのだが、また血を吐くので起きてしまうと言った感じだ。
とにかく、前述したサイクルを続ける。
何日かして変化があった。

なんと!血を吐かなくなったのだ!

2週間後に検査と聞いていたので、なんだか少し期待するというか、がんの成長にブレーキをかけることができていたら、効果があったと考えていいはずだ。
ガンが小さくなること、消えていくことがベストなことはわかっているが、ハードルを上げすぎるのは今の彼女にとっては心の負担が大きすぎる。現状維持でも十分だ!今現在、生きていられてるわけなので!「これ以上悪くならないこと!」が一番大事だからだ。

魔法の言葉
「ガンは大きくならなければ、ただの出来物だ!」
彼女と接する時にはいつもこれを言うことにしていた。

血を吐かなくなったので、若干、毎日の日課になっていた前述のサイクルが変わった。
『空腹時にジュースを飲む→温熱をする→寝る休む』となった。

温熱をしてると気持ちがいいからか、あるいは、モルヒネを止めているせいか、幻覚を見るようだった。寝ぼけているのかもしれないが、リアルな幻覚を見ている様子だった。「上の方からおばあちゃんが迎えにきてる」とか言い出す。気味が悪いし困ったもんだったが、「何も見えへんよ!」「誰もおれへんよ!」といちいち返していたのを覚えている。

黙々と、毎日同じパターンを続けて、検査の日を待った。
(続く)
https://bunsei.net/2020/10/05/post-257/

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