【がん再び】その3

【がん再び】その3

自分ではどうしようもないこと。言葉も見つからない時は黙っているしかない。急にいなくなって、どこかのビルから飛び降りるような電話は何度もある。

つらい。心が廃れて来る。あれだけ助かると思っていたのに、こんなことになるとは、自分を責める毎日。

それまでは一生懸命に人のために尽くせば、それはきっと良いことに繋がると根拠もないのに勝手に信じていた自分がいる。

毎日のように自分を追い詰める。

ただただ助けた責任から何とか現状を良くしなければという、逃げようもない設定、そんな毎日だった。

さらに彼女は関西出身ではないので、関西弁の自分の表現が全く合わない。いちいち衝突した。体の状態のこともあるんだろうが、衝突が大きい。人とこんなに衝突したことがなかったので、初めての経験にかなり戸惑っていた。

2人の状態は少しも良くはならないが、彼女は賢い人。どんどん前向きになっていく。毎日のように喧嘩は続くが、彼女は少しずつ落ち着きを取り戻して、どうやって治していくか前を見るようになっていく。

この時はとにかく、自分の勧めたサプリメントの栄養補給は一切やめてもらっていた。かと言って、前の処方をもう一度やることもなかった。

他にいい方法があるはずと彼女が自分で調べだす。

自分で調べて、自分で実行する。本来の彼女はそれぐらい前向きな人だ。何でも自分でやり切れる人。助けを必要としない人。

自分はなるべくそれに寄り添うというやり方でいくように努力した。決め事ではなく、彼女と暮らしていて、それがベストではないかと自然にわかって来た。自分主導でここまできたが、その限界が来て、いよいよ彼女自身の持てる力で体を治す時が来たようだ。

全くの自分の勘なんだが、ガンはいっぱいあっても1つ1つは小さい。前回のように巨大な塊でもないことから成長力もそんなにないのでは?栄養を遮断するだけでもある程度は効果があるはずとは思っている。

彼女自身が調べ考えたやり方。詳しくは書かないが、絶食療法を主体にしたガンの勢いをなくす方法だ。自分の勘とも合うクレバーでピッタリな方法だと思った。

仮説ではあるが、再発したガンは優れた栄養補給の力でおよそ考えられないほどの短期間でここまで急速に大きくなったと想像できる。栄養を断ちさえすればガンは弱まる可能性がある。確信はないが、彼女は自分なり調べて実行に移した。

これ以降、検査に行くことは控える。意味がない。

体調が優れないや状況が悪くなることがなければ検査には行かない。

それは、心理的なものが2人を決して良い方向には向かわせないことがわかっているので、ドキドキしながらも、健康そうに暮らせていればThat’s OK!とした。

長い長い、がんとの共生の始まりだった。

(続く)

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